「三つ子の魂百まで」の脳科学的解釈
愛情と厳しさの躾は3歳までに
「三つ子の魂百まで」ということわざがあります。
これは「子供の性格は三歳を過ぎると、一生変わらない」ということを表しています。
人間の脳内神経回路は胎児期から3歳頃にかけて集中的に発達します。
一生に一度しかない、脳の発達の「大切な時期」に当たります。
ある時期を越えると、これ以上発達しなくなる部位が存在し、そのタイムリミットを「臨界期」といいます。
動物実験によると、生まれたばかりの検体の目を覆い2週間何も見せない状態にしておくと、
一生目が見えなくなる、という結果が報告されています。
つまり、物を見るという臨界期は生後2週間ということです。
様々な臨界期があり、機能によってこの期間は変わっています。
言語能力:0歳〜9歳。運動能力:0歳〜4歳。絶対音感:0歳〜4歳。数学的能力:1歳〜4歳
といわれています。
ここで「眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)の臨界期」について述べたいと思います。
食欲、睡眠欲、性欲など「欲」と言われるこれらは人間の本能です。
これらが無ければ種の存続が出来ないので非常に大切ではありますが、それらを抑制する力、理性も必要です。
それらの欲を司る大脳辺縁系と理性を司る大脳新皮質の間には「眼窩前頭皮質」しか存在しません。
そして「眼窩前頭皮質」の臨界期は受精後3年間というのです。
本能のままに生きてしまうと我がまま勝手な言動となり、いろいろな事件を引き起こす原因となります。
あおり運転の結果「腹が立ったから」という身勝手な理由は眼窩前頭皮質の未発達であることが分っています。
眼窩前頭皮質の発達にはスキンシップと躾が大切とされています。
授乳の際は、しっかりと抱いて、お子様の目を見て愛情いっぱいの笑顔と言葉を注ぎましょう。
時と場合によっては厳しさも大切であることを忘れずに。
代表 喜納 康光
(11月1日 会員向け月刊新聞「ヒカリっ子」第177号より一部抜粋)