日本古来の子育ては最先端の育児法
本能と理性の間のスポット
人間の脳には「本能」を司る大脳辺縁系という部位があります。
もしその部位だけが働き、本能のままに人が行動したなら、周囲が迷惑を被ります。
有り難い事に人間の脳には「理性」を司る大脳新皮質があるお陰で、
「人に迷惑をかけてはいけない」と自らの本能まかせの行動にブレーキをかけることができます。
そのような制御が出来るのは、その両脳の間に
「眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)」という部位が存在するからです。
そこが未発達だと、本能と理性のバランスを保つことは出来ません。
そしてそこは、三歳を過ぎると発達が止まってしまう場所でもあります。
日本の先人達は子育ての知恵として、
「しっかり抱いて、下に降ろして、歩かせる。」という金言を残しています。
子どもを「しっかり抱く」というのは、母親の母性原理にあたる愛着で、
その本質は慈愛、受容、保護といったやさしさです。
眼窩前頭皮質が司る対人関係能力の基盤である共感力を育てる働きです。
「下に降ろして歩かせる」というのは、愛着からの分離です。
いつまでも抱いていては子どもは自律できないので、父性原理としての「義愛」が必要です。
その本質は権威力を鍛える鍛錬、規律、厳しさで、
「何でも思い通りにはいかない」という学習をします。
その様な父性的な関わりによって眼窩前頭皮質の働きの一つである自己制御能力が育っていきます。
母親から学んだ共感性と、父親から学んだ、自己制御能力の両方を兼ね備えたところに、
竹のようなしなやかさを伴った本当の強さが備わるのです。
日本に古来からそのような教育法があったことを有り難く思います。
代表 喜納 康光
(11月1日 会員向け月刊新聞「ヒカリっ子」第165号より一部抜粋)
(画像提供:https://unsplash.com/photos/M0M-FR2iedk)