「足るを知る」の大切さ
19歳の少女が乗り越えた究極の困難
今なお新型コロナウィルスは世界各地で終息に至っておりません。経営面で厳しい状況に追い込まれている人もいます。これが日本経済やその他あらゆる分野において大打撃を与えている今日、日々の生活において誰もが不安を感じていることでしょう。それでも私たちはこの境遇を乗り越えていかなねばなりません。今与えられた環境の中で自らの力を発揮していくことが求められています。与えられた状況に感謝する!という事は時には難しいこともあるでしょう。だからと言って不平不満を言い続けていても解決には至りません。
足るを知る!という先人の教えに支えられ、困難を乗り越えた溝呂木梨穂(みぞろぎりほ)さんの体験を紹介したいと思います。
梨穂さんは生後一か月で最重度の脳障害児となり、十九年間誰とも会話せず沈黙の人生を生きてきました。しかし、母親の眞理さんは「寝たきりの梨穂さんの中にはちゃんと意思や思いがある」と信じていました。
娘の中にある「言葉」を引き出してあげたいという母親の願いが、國學院大學教授の柴田博士との出逢いに至ります。博士の開発した装置で梨穂さんが会話を始めたのでした。母親の信じた通り梨穂さんには言葉があったのです。しかも教養に溢れた言葉が次々に出て来るのでした。
その梨穂さんは「私は十九年五カ月もの間孤独でした。しかしそれは本当の孤独ではなかった。なぜなら精神病棟に入れられて部屋には鍵を掛けられ、親にも会えないような本当の孤独を味わっている人に比べれば自分の孤独はちっぽけだから」と、自分自身の境遇を嘆くことなく力強く生きていたのです。まさに足るを知る生き方ではないでしょうか。
代表 喜納 康光